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身体活動量が多い高齢者ほど認知機能が低下しにくい

日経メディカル
活動エネルギー消費量で評価、自己申告に基づく比較では差なし
 身体活動量が多い高齢者ほど、その後の認知機能障害が起こりにくいことが、70~79歳の男女の日常の身体活動量をより客観的な指標を用いて算出し、認知機能の変化を追跡したカナダSunnybrook Health Sciences CentreのLaura E. Middleton氏らの研究で明らかになった。論文は、Arch Intern Med誌2011年7月25日号に掲載された。

 中高年で身体活動量が多い人々はその後の認知機能障害のリスクが低いことや、運動量が多い人の方が認知機能の低下が遅いことは、これまでに行われた研究でも示唆されていたが、信頼性は高いとは言えなかった。運動量を自己申告に基づいて評価していたり、定量化が難しい身体活動(日常的な所作がきびきびしているかおっとりしているかなど)を除外している、といった問題があった。特に認知機能低下が始まっている高齢者においては、自己申告は不正確になりやすい。また、質問票を用いた運動量評価の結果は、客観的な評価と相関しにくいことも示されていた。

 そこで著者らは、1日のすべての活動の客観的な指標である活動エネルギー消費量(AEE)を利用して、高齢者の身体活動量と認知機能障害の関係を調べることにした。AEEは、総消費エネルギー量から安静時基礎代謝量(呼気ガス分析による間接熱量測定法を用いて算出)を引いて0.9をかけたものとし、総消費エネルギー量は二重標識水法を用いて2週間にわたって評価した。

 米国のPittsburgh大学とTennessee大学で、1998~99年に、健康で認知機能も正常な70~79歳の男女197人(平均年齢74.8歳、51%が女性)を登録し、追跡した。ベースラインと2年後または5年後に、修正MMSE(Modified Mini-Mental State Examination)を用いて認知機能を評価し、2回の評価で認知機能が1.0SD以上低下した場合を認知機能障害と定義した。

 ベースラインでは、交絡因子候補に関する情報を収集すると共に、質問票を用いた過去7日間の身体活動量の調査も実施した。

 ベースラインのAEEに基づいて登録者を三分位群に分けた(最高三分位群が66人、中間三分位群が66人、最低三分位群が65人)。3群間の学歴や除脂肪量(除脂肪体重)、自己申告による健康状態、MMSEスコアなどに差はなかった。

 自己申告による個々の身体活動の量には、三分位群間でほとんど差はなかった。活発な身体活動(ジョギング、水泳、サイクリングなど)やウォーキングを行っている人の割合に差はなく、日常生活活動においても、有意な差が認められたのは階段の昇階と介護のみだった(これらの活動を行う人の割合は、いずれも最高三分位群の方が有意に多かった)。

 ベースラインのAEEは、その後の認知機能障害発生と強力に関係していた。認知機能障害罹患率は、最高三分位群が1.5%、中間三分位群が4.5%、最低三分位群が16.9%で、最低三分位群を参照群とし、ベースラインのMMSEスコアで調整して認知機能障害のオッズ比を求めたところ、中間三分位群が0.23(95%信頼区間0.06-0.88)、最高三分位群は0.07(0.01-0.60)となった。さらに、人口統計学的要因(性別、年齢、人種、登録場所、学歴)、除脂肪量、睡眠時間、自己申告による健康状態、糖尿病などで調整しても、最高三分位群の認知機能障害のオッズ比は0.09(0.01-0.79)と低かった。中間三分位群のオッズ比は0.28(0.06-1.23)で有意ではなくなったが、AEEと認知機能障害の間には引き続き用量反応関係が認められた(傾向性のP=0.05)。

 一方、ベースラインの自己申告による身体活動量に基づいて登録者を三分位群に分けた場合は、交絡因子候補による調整の有無にかかわらず、3群間のオッズ比が有意な値になることはなく、用量反応関係も見られなかった。

 得られた結果は、AEEが大きいほど、認知機能障害を発症しにくいことを示唆した。「積極的な運動と日常的な動作のどちらが認知機能の維持においてより有効なのかは、今後明らかにする必要がある」と著者らは述べている。

 原題は「Activity Energy Expenditure and Incident Cognitive Impairment in Older Adults」、概要は、Arch Intern Med誌のWebサイトで閲覧できる。

2011.07.30  1:30am  

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