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Lancet誌から 1型糖尿病の血糖管理不良は心不全の危険因子@日経メディカル

新着文献
2011年7月15日難波 寛子=医師

スウェーデンにおける9年間の観察研究結果
 若年の1型糖尿病(DM)患者の心血管疾患による死亡率は、一般集団の8~40倍と高いことが知られているが、その血糖コントロールと心不全との関連は不明だった。今回、スウェーデンの大規模なコホート研究から、HbA1cが高くなるほど心不全リスクが上昇することが明らかになった。この結果は、Lancet誌オンライン版6月25日号に掲載された。

 スウェーデンの糖尿病患者のデータベース(national diabetes registry;NDR)に、1998年1月から2003年12月までに登録された18歳以上の1型DMで、心不全のない患者2万985例を対象に解析が行われた。

 検討された項目は、年齢、性別、DMの罹病期間、HbA1c、体重指数(BMI)、収縮期と拡張期の血圧、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)および高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)、喫煙状況である。また、β遮断薬、ACE阻害薬、アンジオテンシII受容体拮抗薬(ARB)の使用も合わせて検討した。

 スウェーデンの全国退院登録では、主病名と関連病名の登録が全例で義務付けられている。そこで本研究では、個人識別番号(PIN)を用いて全国退院記録と原因別死亡登録を関連付けた。

 経過観察は登録時から、心不全を退院病名とする入院や死亡があったとき、または2009年12月の終了時まで行った。

 平均HbA1c(毎回の測定ごとに更新された平均値)によって、6つのカテゴリーに分けた(6.5%未満、6.5%以上7.5%未満、7.5%以上8.5%未満、8.5%以上9.5%未満、9.5%以上10.5%未満、10.5%以上)。

 HbA1cが6.5%未満の症例に比べて、10.5%以上の症例はDM罹病期間が長く、血圧が高く、心筋梗塞が多く、喫煙者が多く、ACE阻害薬やARB、β遮断薬の投与を受けている割合が高かった。


図1 年齢別グループで検討した心不全発生率と平均HbA1cの関係(Lind M, et al. Lancet. in press)

 観察期間の中央値は9.0年(四分位範囲:7.3-11.0)だった。期間中、635例(3%)が心不全の診断で入院し、心不全の発生率は3.38/1000人年だった(95%信頼区間[95%CI]:3.12-3.65)。1000人年当たりの心不全発生率は、血糖コントロールが良好なほど低かった。これは41~45歳、56~60歳の2つの年齢別のグループで検討しても変わらなかった(図1)。

 年齢、性別、DMの罹病期間で調整後、HbA1c 6.5%未満とHbA1c 10.5%以上のハザード比[HR]は6.37(95%CI:3.57-11.4)だった。HRは喫煙歴、BMI、収縮期と拡張期の血圧で調整後は低下し、心筋梗塞を含む合併症で調整後、さらに低下した。

 ベースラインと期間中の合併症に加えて、当初の検討項目を含むCox回帰モデルにおいて、心不全の独立した予測因子として、HbA1c上昇、年齢、DM罹病期間、BMI、収縮期と拡張期の血圧、喫煙、弁手術、心房細動、心筋梗塞、虚血性心疾患を特定した。

 LDL-CとHDL-Cのデータが得られた1万8281例(全体の87%、心不全イベント502回)で、Cox回帰モデルによる解析を行った結果、HDL-Cの上昇は保護的な効果を持っていたが(HR:0.60、95%CI:0.48-0.76、1mmol/L上昇ごと)、LDL-Cが心不全リスクと関連するというエビデンスは弱かった(HR:1.13、95%CI 0.99-1.28、1mmol/L上昇ごと、P=0.07)。

 微量アルブミン尿のデータが得られた1万6291例(78%)では、HbA1cは独立した心不全の予測因子だったが(HR:1.39、95%CI:1.27-1.53、1%上昇ごと)、微量アルブミン尿は予測因子にはならなかった(HR:1.17、95%CI:0.93-1.48 微量アルブミン尿あり vs. なし)。

 著者らは考察において、9年の観察期間中に若年の1型DM患者のほぼ30例に1例が心不全で入院したことを紹介し、このような症例では心不全は主要な合併症であるとした。心不全治療は生存率やQOLを向上させるため、1型DM患者の管理において医師は早期から心不全の兆候を観察すべきだと述べ、特に血糖コントロール不良、長期の罹病期間、危険因子が多いといった場合には心エコーが望ましいだろうとした。

論文:
Lind M, et al. Glycaemic control and incidence of heart failure in 20985 patients with type 1 diabetes: an observational study. Lancet. 2011 June 25. DOI:10.1016/S0140-6736(11)60471-6

2011.07.15  12:43am  

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